次に、具体的にどのような作業があるか見ていきましょう。ここでは英語版を元に日本語版を作成する場合で考えてみます。日本語版を作るということは、要は英語版の製品パッケージ及びその中に入っているものを日本語化することなので、どういったものが入っていて、それはどのようにして作られているかがわかれば、日本語化の手順も見えてきます。
まずは、パッケージです。パッケージの作成には、QuarkXPressなどのDTPツールが使われることもありますし、Adobe Illustratorなどのグラフィックツールで作成されることもあります。
パッケージを開けると、その中には…
- マニュアル(印刷物またはオンライン・マニュアル)
- チュートリアルのCD
- アプリケーションプログラムの入ったCD
…などが入っています。
マニュアルは、Wの場合は多分Wで作られているでしょうが、弊社では、Adobe FrameMakerで作られたマニュアルのローカライズが一番多く、また、それをセールスポイントにしています。
チュートリアルとは、ソフトウェアの説明です。映像、アニメーションや、場合によって音声も交えて行われます。こういったチュートリアルの作成によく使用されているソフトウエアがMacromedia Directorです。音声が入っている場合は、日本語の吹き替えを行う必要があり、その場合、声優やスタジオの手配をしなくてはいけないなど、かなり手間がかかるため、チュートリアルのローカライズは弊社ではほとんど行っていません。
最後に残っているのが、アプリケーションプログラムのローカライズです。アプリケーションプログラムはさらに、次の3つの要素に分けられます。
UIとはUser Interfaceの略で、メニューやメッセージ部分のローカライズです。使用するツールとしては、翻訳した文字がメニューやダイアログボックスに適切に収まるように調整するために、プログラマが使うリソース・エディタを使用したりします。
ヘルプとはオンラインヘルプのことで、場合によってはマニュアル以上に翻訳量のある部分です。ヘルプもレイアウト上の問題が出てくるので、ただ翻訳すれば良いというわけではありません。専用のツールとしては、エクセルソフト社のRobohelpが有名です。
以上の作業をすべて行えば、パッケージもマニュアルも、アプリケーションを立ち上げた時の見かけも、日本語版になりますが、日本語のワープロとしては、まだ問題があります。
日本語が適切に表示されないかもしれませんし、日本語が表示されても、次のような問題が発生するかもしれません。
日本語の入力はできるが、行末に句読点が来ると
、次の行に泣き別れてしまい、これでは使えない
。
実際には、次のようにならなくてはいけません。
日本語の入力はできるが、行末に句読点が来ると、
次の行に泣き別れてしまい、これでは使えない。
こういった句読点が泣き別れないようにするための処理を禁則処理と呼びますが、米語版のワープロであれば、当然のことながら禁則処理機能はありません。したがって、日本語が適切に扱えるようにアプリケーションプログラム自身も改良する必要があります。プログラム自体の改良作業は簡単ではないので、この部分はさすがにM社の開発チームが行うことになるでしょう。
バーテムズではこのように、ソフトウェア自体の設計やチュートリアルを除く、ソフトウェア・パッケージ一式の日本語化を行っています。実際の作業は、翻訳やDTP、プログラミングなどの技術を身につけた人たちによって行われています。